最終更新日 令和3年1月4日
関西森田の会 報告書
Vol.24 2019.4.22
【関西森田の会概要】
目的
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関西圏での森田療法家の育成と親睦
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関西圏での森田療法に関する勉強会、セミナー、イベント等の開催及び紹介
(森田療法の研究と実践ノウハウの共有、高度化)
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関西圏での森田療法のコア施設づくり
対象者
森田療法に興味がある全ての方
運営
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年会費:なし
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活動費:実費
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代表:仲野 實(ナカノ・花クリニック)
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事務局:ナカノ・花クリニック(TEL:072-234-0879)
【第23回 関西森田の会・講習会の報告】
■ 第23回関西森田の会は2018年10月27日、岡本記念財団の会議室をお借りして行われました。参加者は10余名、テーマは『臥褥について』でした。
岡本重慶さんと森泉さんのお二人の臥褥についての基本的な確認に続いて、矢野さんから、今森田療法体験会で行っている『臥褥変法』についての話がありました。
2019年3月の関西森田療法研究会での立松先生(立松クリニック、日本森田療法学会常任理事)との討論でも話題になったのですが、言葉・会話だけでの精神療法には限界があるため『別回路』が必要で、森田療法では『作業』と『臥褥』がそれにあたります。ちょうどフロイト派精神分析における自由連想や、ユング派における夢分析と同じように、森田療法においては作業と臥褥というこの別回路が必要です。
この間、関西森田の会では、森田療法体験会で作業を行っています。「田舎の古民家で、衣食住を工夫して過ごす」と銘打った森田療法体験会での作業が普通の作業ではなく、森田療法の別回路としての作業として成り立つのかについて、さらなる検討が必要です。何故「田舎の古民家」で、なのか。何故「衣食住」なのか。何故「工夫して」なのか。何故「過ごす」なのか。等が検討されなければなりません。
その前に、もう一方の別回路である臥褥についての検討を始めようということになって、今回のテーマになりました。関西森田の会での臥辱は、これもまた体験会で行っている『臥褥変法』です。
■ 『臥褥変法』は月1回の森田療法体験会で、夕食が終わり片付けも済んで一段落した時に、下記の要領で行っています。
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1回20分
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開始・終了の合図は決まった人が行う
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目的は、集中することでも気分を落ち着かせることでもリラックスすることでもない。ただ、そのままでいる。そのままの事実のありようにゆだねる。
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座っていても横になっていてもよく、姿勢は問わない。楽な格好で。ただしころころと姿勢を変えることは不可。身体が痛くなって姿勢を変えるのは可。ただし、静かにゆっくりと。
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沈黙を守る。
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おしゃべり、独り言、タバコ、おやつ、口笛、ストレッチ、運動、手遊び、読み書きなど、一切の退屈を紛らわせることは不可。
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行動上の制約を守るのが厳しい人は、その間だけその場を離れても可。
■ 回を重ねるにつれてやり方の習得はできてきましたが、全員が「すっきりした」ということにはなっていません。
私(仲野)が往診で行っているパニック障害の方にこの臥褥変法を教えたが、彼はこの20分が「苦痛の時間だ」と言います。体験会に参加する人の中には「苦痛だ」と言う人は今のところいません。
臥褥の中で、私(仲野)は思う。「田舎だと言ってもいろんな音が聞こえるものだな」と。「なかなか無心にはなれないものだ」と。「雑念ばかりが浮かんでくる」と。「この雑念にゆだねるしかないのか」と。「目は開いても見えすぎるし、閉じれば閉じたで気がかりだし、やはり半眼ぐらいがいいのか」と。20分が長いと感じるときもあり、短いと感じるときもあります。「寒いのはかなわん。次回は寝袋に入るとか工夫せんといかん」等々。
参加している皆も同じようなことを言っています。
いずれにしても体験会における『臥褥変法』は、入院森田療法における『絶対臥褥』とは全く異なるもので、それは極めて当然のことです。
そもそも『絶対臥褥』があって、それに続く『作業』があって・・・それが「森田療法」だと思っていたのですが、安易に『作業』の次は『臥褥』と考えてやり始めたのが体験会での『臥褥変法。それが『絶対臥褥』とは全く違うものだとしてもそれはそれで、それに従わざるを得ないのです。森田療法では自然服従と言います。森田療法の本筋さえ外さなかったら良いのです。
■ 話は変わりますが、この間の脳科学の進歩には極めて著しいものがあります。以下は、脳科学の最先端を行く京都大学精神科の村井教授に、数年前に私(仲野)が教えていただいたことです。
「マインドフルネスの時、脳のどの部分が活動しているのですか?」と問う私に「デフォルト・ムード・ネットワークだ」と教えて頂きました。
Default Mode Network(DMN)とは、何もしないでぼんやりしている時、ぼんやりと「今、ここ」で起こっていることに注意を向け、自分の感情や思考を判断せず、観察している状態の時に活動する、複数の脳領域のネットワークで構成される広範囲にわたる脳の部分です。
そこは瞑想の時は活動を低下し、雑念が沸き上がりながら自分の状態を観察している時に活動が高まるといいます。
森田療法体験会の『臥褥変法』の20分は、まさにそんな状態です。回を重ねた人にfMRIの検査をすれば、きっとDMNの活動が高まっていると思います。
『臥褥変法』の『そのままでいる時間』は、瞑想でも注意集中でもリラックスでもない。ただ『そのままでいる』だけの時間。心は激しく外界と自分とを行き交い、まさにパニック寸前です。パニック障害の彼にはさぞかし苦痛でしょう。20分の間、雑談もあらゆる気晴らしも禁止され、体動も禁止される。苦しんだ挙句「ゆだねるしかないか」と諦観させられるのです。
こうして『臥褥変法』が森田療法の中で一つの別回路になっているのは、脳科学的に明らかでしょう。(まだ実証はされていませんが)
■ 森田療法体験会では、3人の方(神奈川へ帰っていった彼女を含めれば4人かも)が『薬いらず、医者いらず』になっています(不思議と皆女性)。しかし体験会だけはきっちり来られている。
これはもっと強調していいことだと思います。
(文責 仲野)
【第24回 関西森田の会・講習会予告】
上にも書きましたが、どのような条件、環境、状況の下で森田療法は成り立つのか。関西森田の会でも遮断の大切さは議論されましたが、『森田療法が成り立つ環境』ということではまだ議論されていません、入院森田療法で、外来森田療法で、体験会で、あるいは日本森田療法学会では歩く森田、書く森田、踊る森田と発表されました。先日4月21日の関西森田療法研究会では、体験の直接性を求めて『歩こう会』、『糸掛けの会』、『映画の会』が行われている話がありました。またあれから25年が経ちましたが、ザンビアで内乱の復興に森田療法が有効であったとも聞きます。このように色々な形の森田療法があります。
次回はこうした色々な形の森田療法において、そこにはどのような条件、環境、状況が必要であるのかに焦点を当てて、皆で議論しようと思います。学会で聞いたこと、個々の治療で実感してきたこと、体験会で感じたこと、論文で読んだこと、何でも結構です。皆で話し合いましょう。
☆第24回 関西森田の会講習会
テーマ:「森田の環境」
担当:全員
日時:令和 1年 5月 11日(土)16:00~18:00
場所:岡本記念財団事務局会議室
☆第24回 関西森田の会例会(親睦会)
日時:講習会終了後
場所:お初天神近くのお店
会費:3000円程度?
☆毎月体験会やっています!詳しくはホームページまで
ホームページ:kanmorikai.wixsite.com/moritasite